海外文献紹介
1型糖尿病患者における,7年間の厳格な血糖管理と長期的生命予後の関係
栗田 守敏
1
,
中神 朋子
1
1東京女子医科大学 糖尿病センター
pp.429
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200155
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1型糖尿病は早期死亡リスク上昇と関連付けられてきましたが,最近の欧米の疫学的データではそのリスクは減少しているといわれています.最近のアメリカの研究では,1965〜1980年に1型糖尿病と診断された子どもの予測寿命は68.8歳で,一般人口と3.6年しか差がありませんでした.この死亡率減少の理由は不明ですが,1983〜1993年に行われたDCCT試験および,その後の追跡調査であるEDIC観察研究により,早期からの厳格な血糖管理が腎疾患や心疾患の合併リスクを減らすことが示されています.一方,2型糖尿病患者においては,ACCORD試験などで厳格な血糖管理により総死亡や心血管死亡のリスクが上昇すると報告されていますが,異なる研究結果もあり,厳格な血糖管理と総死亡リスクの関係には一定の見解は得られていません.今回,前述のDCCT・EDIC試験より1型糖尿病患者における7年間の厳格な血糖管理と長期的生命予後の関係を検討した成績が報告されましたので紹介します.
DCCT試験は,1983〜1993年に1,441人の1型糖尿病患者,13〜39歳(平均27歳)をランダムに厳格血糖管理群(711人),通常血糖管理群(730人)に割り付け,厳格な血糖管理が長期的な糖尿病合併症に与える影響を検討したものです.EDIC観察研究は,DCCT試験終了後も追跡調査を継続したもので,現在も継続して行われています.
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