海外文献紹介
居住地域の歩きやすさと肥満・糖尿病発症率の関係は?
栗田 守敏
1
,
中神 朋子
1
1東京女子医科大学 糖尿病センター
pp.898-899
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200551
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世界的に肥満と糖尿病の増加が大きな問題となっています.経口血糖降下薬の開発は飛躍的に進歩していますが,2型糖尿病の治療には食事・運動療法は最も重要です.食事療法は栄養指導や日々の外来診療の場で頻回に行われますが,運動療法はコストの問題や明確な指示と実行が難しいことから敬遠されがちです.日本人2型糖尿病患者を対象とした観察研究では,余暇時間に運動量が多い者は脳卒中や全死亡率が低く,運動療法の効果が示されています.しかし,2010年に行われた糖尿病運動療法の実施状況の調査では運動療法を行っていると回答した割合は52%であり,食事療法と比して実施率が低いことが示されています.理由の一つに「運動を行う時間がない」という患者さんの意見があります.運動療法といわれると,特別に運動の時間を割くことが必要なように考えがちですが,日常生活のなかでの身体活動量を増やすことも肥満・2型糖尿病の予防・治療として有効だと考えられます.居住地域が歩きやすいほど日常の身体活動量が増加するため,居住地域の歩きやすさは肥満・糖尿病の発症と関係していると考えられてきましたが,前向きに検討した研究はありませんでした.そこで今回,居住地域の歩きやすさと肥満・糖尿病の発症の関係を前向きに検討した論文を紹介します.
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