増刊号特集 Brush Up! CDE 糖尿病合併症事典
Ⅱ慢性合併症
【注目されている併存症】
うつ病
新谷 哲司
1
1松山市民病院 内科
キーワード:
①うつ病
,
②教育入院
Keyword:
①うつ病
,
②教育入院
pp.300-302
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101713
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症例 30歳 男性 2型糖尿病
身長185cm,体重89.7kg,BMI 26.2.
既往歴:27歳時にうつ病を発症(心療内科にてパロキセチンの処方あり).
生活歴:喫煙20本/日×18年間(12歳時より喫煙).
家族構成:妻と男児がいたが,現在は離婚している.両親も離婚しており,キーパーソンは父親.
経過:25歳頃に,それまで100kgあった体重が急激に74kgまで減少したことから近医を受診し,糖尿病と診断された.同院にてインスリン導入を受け外来にて治療を受けていたが,何度か治療を自己中断していた.29歳時より自己判断にて別の近医に転院したが,通院は不定期であり血糖コントロールは不良であった.血糖コントロールおよび糖尿病教育目的にて当院紹介され教育入院となった.入院時のHbA1cは13.7%,SDS(Tips 1)は51点であった.入院当初より「講義中は聞いておくだけでいいの?」「どうせ退院したら元に戻るから……」とやる気を感じさせない言動が多かった.うつ病の合併があることから,糖尿病チームカンファレンスにて心理的負荷の少ない指導を行う方針となった.たとえば,食事療法については1日3食摂取すること,夕食後は間食しないことの2点のみは少なくとも守るように指導する程度とした.入院後は徐々に血糖コントロールは改善していたが,退院前の試験外泊では入院前と同様の状態に戻ってしまっていた.退院後の3カ月は当院外来に通院し,経口血糖降下薬は用いずにHbA1c 8.5%まで改善したが,以降は受診されなかった…….
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