肝臓を診る-肝臓病のキモ 肝疾患各論
NASH/NAFLD 脂肪肝が原因で肝硬変になる?
谷合 麻紀子
1
1東京女子医科大学 消化器内科
キーワード:
Vitamin E
,
肝硬変
,
体重減少
,
肥満
,
有病率
,
Pioglitazone
,
肝線維症
,
肥満手術
,
発癌
,
肝疾患-非アルコール性脂肪性
,
組織診
Keyword:
Liver Cirrhosis
,
Liver Cirrhosis
,
Obesity
,
Vitamin E
,
Weight Loss
,
Prevalence
,
Bariatric Surgery
,
Carcinogenesis
,
Non-alcoholic Fatty Liver Disease
,
Pioglitazone
pp.1135-1140
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017264373
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アルコール性肝障害をきたすほどの飲酒歴がなく他の肝疾患をきたす要因が否定された脂肪肝は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と総称され,肝組織所見により非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分類される.NASH/NAFLDの病態は単一ではないが,多くは生活習慣病・肥満の合併がその病態に関連し,インスリン抵抗性を基盤とするメタボリックシンドロームの肝病変で,最近急増し,わが国の健康成人の約30%に認められる.NASH/NAFLDの血中肝酵素値は,基準域にある症例もあり,肝病態の重症度を反映しない.NAFLとNASHはかつて異なった病態と考えられてきたが,現在は同一病態の異なった時相とする説が主流である.NASH/NAFLDを基盤とする肝硬変では年率約2%,発がん時年齢中央値約70歳で肝細胞がんを合併する.NASH/NAFLDの最も有効な治療は食事療法など生活習慣改善による減量である.
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