増刊号特集 Brush Up! CDE 糖尿病合併症事典
Ⅱ慢性合併症
【細小血管障害】
腎症
糖尿病性腎症
馬場園 哲也
1
,
吉田 宣子
1
,
豊永 愛子
1
,
竹村 俊輔
1
1東京女子医科大学糖尿病センター 内科
キーワード:
①糖尿病性腎症病期分類
,
②慢性腎臓病(CKD)
,
③アルブミン尿
,
④糸球体濾過量
Keyword:
①糖尿病性腎症病期分類
,
②慢性腎臓病(CKD)
,
③アルブミン尿
,
④糸球体濾過量
pp.250-253
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101700
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症例 42歳 男性
嗜好:20歳頃より1日20本程度の喫煙を継続.飲酒はつきあい程度.
家族歴:母親に糖尿病があり,経口血糖降下薬で治療中.
現病歴:22歳,就職の際の健康診断で尿糖が陽性であり,精密検査を勧められていたが以後放置.30歳台の後半で口渇,多尿などの症状があったが,多忙を理由に医療機関を受診しなかった.42歳時に突然右眼の高度視力障害を自覚,近くの眼科を受診した際,両眼の増殖糖尿病網膜症と診断された.糖尿病の治療目的に当院を紹介され初診.
初診時の所見:網膜症は両眼とも増殖性で,右眼は硝子体出血をきたし,これによる視力障害と考えられた.両下肢に高度のむくみがあり,アキレス腱反射は消失.
外来受診時の血液検査で血糖(朝食後2時間) 405mg/dL,HbA1c 10.8%であり,重症の糖尿病と考えられた.血中尿素窒素(BUN) 65.5mg/dL,クレアチニン8.54mg/dLと腎臓の機能は高度に悪化しており,高カリウム血症,代謝性アシドーシス,低酸素血症,さらに胸部X線で胸水,心臓の拡大所見を認めた.
初診後の経過:検査結果から緊急の透析療法が必要であり,直ちに入院のうえ,血液透析が開始された.週3回の透析によって腎不全に関連した血液データなどは著しく改善した.高血糖に対しインスリン治療が開始された.増殖網膜症に対しては,腎臓の機能が安定した段階で両眼の光凝固療法が行われ,その後右眼の硝子体手術が施行された.透析が安定した30日後に退院,自宅の近くの透析クリニックに週3回通院し,血液透析を継続している.
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