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書評 ―福原俊一(著)―「臨床研究の道標―7つのステップで学ぶ研究デザイン」
上羽 康夫
1,2,3
1京都大学医療技術短期大学部
2京都大学
3日本整形外科学会
pp.150
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100412
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最近発刊されたこの本は医療分野研究の手引き書である.若手医師を主な対象にして書かれたようであるが,これから医療分野の研究を始めようとするOTにとっても真に貴重な本である.科学的視点に立って臨床研究に取り組み,発表したいと考えるOTには必読の書である.また,学生が臨床実習中に得た臨床課題を卒業論文にするとき,まずこの本を読んで臨床研究の基本を学んでほしい.その後に指導教官と相談しながら論文作成に着手すべきであろう.学生時代に臨床研究の注意点と特殊性とを学べば,きわめて大きな生涯の宝を得ることになろう.もちろん,学会発表や論文作成を指導する教員や指導者たちは正しい臨床研究法を熟知すべきであり,この本はそれに必要な7つのステップを記載している.
著者の福原俊一教授は京都大学大学院医学研究科教授,社会健康医学系専攻長,ならびに福島県立医科大学副学長として現在ご活躍されている.1979年(昭和54年),北海道大学医学部を卒業された後,横須賀米国海軍病院で1年間のインターン研修を修了され,1980~1983年(昭和55~58年),カルフォニア大学で内科学を勉強され,1992年(平成4年),ハーバード大学大学院修士課程を修了されている.また,健康評価法SF36をわが国に導入し,臨床研究デザインを若者たちに精力的に教えられている.この経歴が示すように,著者はFACP(米国内科学会上級会員)の称号をもつ非常に優れた内科医であるばかりでなく,臨床疫学や統計学に秀でた教育者であり,広い視点をもつ医療国際人でもある.
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