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特集 糖尿病患者の健康寿命を延ばす―先手を打つ実臨床
Ⅰ癌で手遅れにしないために
自覚症状が出る前に肺癌を見つけ出す
Detection of lung cancer before the appearance of symptoms
磯部 宏
1
1KKR札幌医療センター 腫瘍センター
キーワード:
①肺癌
,
②禁煙
,
③検診
Keyword:
①肺癌
,
②禁煙
,
③検診
pp.490-492
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101552
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はじめに
現在わが国の死亡原因の第1位は悪性腫瘍であり,そのなかでも臓器別癌腫で肺癌が第1位を占めている.また肺癌罹患率も上昇しており,男性では胃癌,大腸癌(結腸癌+直腸癌)に次いで第3位であり,女性では乳癌,大腸癌,胃癌に次いで第4位である.この肺癌罹患率は今後も増加が予想されており,いずれ罹患率でも胃癌を抜くといわれている.
一方で薬物療法の進歩や手術・放射線療法との集学的治療により,肺癌の予後の改善がみられる.しかし残念ながら,一部の早期発見され手術治療を行われた肺癌を除いて,その多くは長期生存には至っていない.肺癌死亡が上昇している要因としては,1つにはわが国の人口高齢化があげられる.また,減少傾向にあるものの欧米諸国に比べてまだまだ高い喫煙率や,精度の高い検診の不備や検診カバー率の低さもその要因である.治療の面からは,新規抗癌剤や分子標的薬の登場により治療効果が上がってきているものの,まだ救命には結びつかず,延命やQOLの改善に留まっているという現状である.したがって,これらの要因のなかで日常診療で少しでも改善に役立てられるものは,喫煙対策および検診対策である.
肺癌の自然史をみてみると,一般的には肺癌細胞の発生から画像で確認できるまで10年前後の時間を要するといわれている.さらに症状が出現するまでには,成長の速い小細胞肺癌などを除いて年単位と考えられている.多くの場合,この症状発現時点では手遅れであり,無症状の救命できる限界点以前で肺癌を発見することが重要である(図1).
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