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―医学生や研修医,ベテラン医師にも購読を勧めたい良書―誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 重篤な疾患を見極める!
山中 克郎
1
1藤田保衛大 総合救急内科
pp.190
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101482
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風邪の診断をするときによく思い出すのは,田坂佳千先生の「かぜ症候群における医師の存在意義は,他疾患の鑑別・除外である」という教えである.ありふれた疾患の水面下には,目では見えない大きく深い世界が隠れている.内科全般にわたる広範な医学知識と適切な問診や身体所見から目に見えない部分を感じとることが必要だ.風邪のふりをした,とんでもない重症疾患があるのだ.
風邪には咳,咽頭痛,鼻汁の3つの症状がある.この中の一つの症状しかなければ風邪の診断は怪しい.咳+発熱だけなら肺炎,咽頭痛+発熱だけなら急性喉頭蓋炎,鼻汁+発熱だけなら副鼻腔炎かもしれない.本書では典型的な風邪の症状について,いくつかの症状パターンに分けてわかりやすく解説されている.漢方処方が不得意な私にとっては,咳には「麦門冬湯」,鼻水には「小青竜湯」,咽頭痛には「桔梗湯」との提案はありがたい(p 11).診療の幅が広がりそうだ.漢方はことさら強い主張はないのに,中国3000年の歴史から凛としてロマンチックな雰囲気を醸し出してくれる.
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