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特集 糖尿病治療薬アップデート―最近の進歩を知る
Ⅰ糖尿病神経障害治療薬
糖尿病神経障害―症例から学ぶ治療薬の使い方と注意点
Treatment of painful diabetic neuropathy
馬場 正之
1
1青森県立中央病院 神経内科
キーワード:
①有痛性神経障害
,
②パレステジー
,
③三環系抗うつ薬
,
④プレガバリン
,
⑤デュロキセチン
Keyword:
①有痛性神経障害
,
②パレステジー
,
③三環系抗うつ薬
,
④プレガバリン
,
⑤デュロキセチン
pp.25-30
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101435
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糖尿病神経障害(diabetic polyneuropathy:DPN)の治療には,発症・進行抑制と対症療法の2側面がある.前者に関しては血糖コントロールの重要性が欧米の大規模スタディによって相次いで確認され,高血圧や脂質異常の関連が推定されるに及んでいる.また,アルドース還元酵素阻害薬エパレスタットはポリオール代謝経路の是正作用による神経変性進展抑制作用がほぼ確かめられている1).
一方,DPNにみられる不快なしびれ感と疼痛,すなわち末梢神経障害性疼痛(neuropathic pain:NP)に対しては,表1に示した種々の薬剤が使用されてきた2).いずれも末梢神経系あるいは中枢神経系の痛覚伝導を抑制するが,有効投与量と副作用発現投与量の差,すなわちtherapeutic windowが狭く,その使用には習熟を要した.最近,従来薬に比べてより高い安全性と有効性が期待されるα2δカルシウムチャネル遮断薬プレガバリン3, 4)とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)デュロキセチン5)の2剤が相次いで臨床現場に導入され,NPのコントロールは飛躍的に容易になった.糖尿病神経障害を含む各種末梢神経障害を扱う筆者の外来での経験をもとに,DPNのNPに対するプレガバリンとデュロキセチンの実際的な使い方や他剤との違い,使用上の留意点についてまとめてみる.
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