特集 Brush Up! CDE 症例から考える糖尿病療養指導
Ⅵよくある合併症
うつを抱える糖尿病者へのかかわりにおける留意点
皆藤 章
1
1京都大学大学院 教育学研究科
キーワード:
①うつ
,
②パーソナリティ
,
③心療内科
,
④心理療法
Keyword:
①うつ
,
②パーソナリティ
,
③心療内科
,
④心理療法
pp.252-254
発行日 2012年3月31日
Published Date 2012/3/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101341
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症例 40歳代 男性 2型糖尿病
幼児期より食べ過ぎで肥満気味の体型であった.気分の浮き沈みが激しい性格で,青年期にはしばしば友人ともめごとを起こしていた.落ち込みの強いときは無気力,不眠が出現し,希死感が表面化したりもした.周囲の勧めで一度心療内科を受診し,軽い安定剤と睡眠導入剤が処方されたが,ほとんど服薬せずに通院も止めてしまった.大学時代から調子が落ち込むと多飲,ドカ食いを繰り返してきた.体重は初診時およそ90kgだった.大学卒業後,営業の仕事に就くが人間関係が良好に保てず,しばしば問題を起こしては会社に迷惑をかけることがあった.25歳時,ある宴席で急激な意識消失をきたし,救急搬送される.血糖値は900mg/dL近くあり糖尿病の診断を受けた.3カ月間の入院加療により改善をみるが,そうなると多飲,ドカ食いが出現する.HbA1c値に一喜一憂し,そのたびに生活状況が変化する.医療者の指示・指導に対しても自分なりに勝手に解釈してしまい,医療者との良好な関係も保てていない.
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