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糖尿病診療の現状
日本糖尿病学会(The Japan Diabetes Society:JDS)の「糖尿病治療ガイド2024」1)では,糖尿病治療の目標として,健康な人と変わらない寿命とQOL(quality of life)を挙げている(図1).JDSが10年ごとに行っている糖尿病患者の死因の調査では死亡時年齢についても調査しているが,直近の2011〜2020年までのJDSの認定教育施設で死亡した糖尿病を持つ人と持たない人の死亡時年齢はむしろ糖尿病を持つ人のほうがやや高く,死因についても両者に大きな差がないことが分かっている2).一方で,NDB(National Database)を用いた日本全体での解析では,糖尿病を持つ人は持たない人に比べてわずかに死亡時年齢が低いと報告されている3).これは,糖尿病治療の進歩によって,血糖のみならず血圧や脂質なども含めた血管合併症のリスク管理が適切になされるようになったためと思われる.
2型糖尿病の薬物療法については,SGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害薬やGLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬の心血管疾患や心不全,慢性腎臓病に対する抑制効果を示す大規模臨床試験の結果が次々と出されてきたこともあり,欧米のガイドラインではHbA1cにかかわらず,リスクの高い人にはこれらの薬剤を投与することが推奨されている.一方,わが国では,まず患者ごとにHbA1cを設定し,病態に合わせた薬剤選択を推奨している4).これには,欧米とわが国の心血管リスクの違いや,筆者らが行ったランダム化比較試験J-DOIT3において,これらの薬剤を使用しなくても厳格な血糖マネジメントにより心血管イベントや腎イベントを有意に抑制できたことも考慮されている5,6).

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