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特集 糖尿病の病態を「見える化」してみる―どこまでわかりやすくできるか―
合併症の病態を「見える化」する 糖尿病網膜症の発症と進展
Diabetic retinopathy
村田 敏規
1
1信州大学医学部眼科
キーワード:
①単純糖尿病網膜症
,
②増殖前糖尿病網膜症
,
③増殖糖尿病網膜症
,
④黄斑浮腫
Keyword:
①単純糖尿病網膜症
,
②増殖前糖尿病網膜症
,
③増殖糖尿病網膜症
,
④黄斑浮腫
pp.37-40
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101014
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糖尿病網膜症にある網膜とは何か.Box 1に示すように,人間ドックなどで撮影される眼底写真に写っているのが網膜である.眼球はカメラに例えられることが多いが,眼球前部に角膜と水晶体と呼ばれる透明な組織があり,これがレンズの役割をしてピントを合わせる.網膜はカメラで言えばフィルムにあたり,光を受容しこれを視神経を通して脳に送る.眼底写真には黄斑と呼ばれる,網膜のなかでも視力のために最も大切な部分と,その鼻側に存在する視神経乳頭が写されている.
網膜とは光を受容する中枢神経であり,大脳の一部が視神経として眼球に触覚を伸ばして,これが薄い膜状の構造になり眼球内壁に張り付いて光を受容している.中枢神経である網膜はいったん破壊されると,視機能の完全な回復は難しい.すなわち糖尿病網膜症が進行すると,視力を回復させることは困難であり,予防が最良の治療である.糖尿病網膜症は依然としてわが国の主要な失明原因の一つであるが,近年ではその病態研究と治療法の開発で,従来であれば失明やむなしの患者でも,視力が維持できるようになってきている.
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