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インスリン注入器専用針回収から学ぶべきもの
朝倉 俊成
1
1新潟薬科大学薬学部臨床薬学研究室
pp.113
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100784
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2006年,あるインスリン注入器専用針の針詰まりを理由に一部ロットの回収騒動が起きたことはまだ記憶に残っていることと思います.あの騒動はいろいろなことを“臨床現場”に投げかけています.回収の原因は,針の内腔に潤滑剤が詰まっているために使用できないものがあったためですが,“騒動”として大きな問題になったのはその背景とその時点での対応が関係していたからだと思われます.
背景としては,①空打ち(試し打ち)はしなくともよい,②注射針は交換しなくともよい,そして③注射器や針をあまり重要視していないという考え(指導)があると思います.しかし,空打ちは注入器や注射針が安全に使用できるかどうかの確認作業ですし,針の再使用は針詰まりを助長します.そして,医療用機器の適正さは医薬品と同程度に取り扱うことになっています.また回収時の問題点はメーカーの対応が具体的でなかったということや回収情報発信のタイミングや広がり方が極めて悪く,特に一部マスメディアのメーカー非難の報道にも混乱を大きくさせた一因があると思います.
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