特集 高齢者医療におけるポリファーマシー対策
精神神経領域のポリファーマシー対策
水上 勝義
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻教授
キーワード:
非薬物的対応
,
抗精神病薬
,
睡眠薬
,
抗うつ薬
Keyword:
非薬物的対応
,
抗精神病薬
,
睡眠薬
,
抗うつ薬
pp.23-26
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.36.07_0023-0026
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高齢者では,うつ病,不眠症,妄想症,認知症をはじめ,さまざまな精神神経症状がみられる。これらは,脳の老化や血管障害などの器質的要因と,喪失体験や周囲の環境などの心理環境要因が作用して現れることが多い。このことは高齢者の精神症状を改善するためには,薬物療法のみならず心理環境要因への対応が重要であることを意味する。また高齢者は,肝腎機能の低下による代謝,排泄機能の低下や,薬剤感受性の亢進などから薬剤の副作用が現れやすい。さらに高齢者は併存身体疾患も多いことから,身体疾患治療薬と向精神薬の相互作用による有害事象のリスクも考慮する必要がある。以上から,高齢者の精神神経領域の治療に際して安全性への配慮が最も重要であり,向精神薬の薬剤数や使用量は必要最小限に留めることが求められる。以下に精神神経領域におけるポリファーマシー対策について,特に不眠症,うつ状態,認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)を取り上げ述べる。「KEY WORDS」非薬物的対応,抗精神病薬,睡眠薬,抗うつ薬
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