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〈総合診療ブックス〉症例から学ぶEBM時代の糖尿病診療
梶尾 裕
1
1国立国際医療センター内分泌代謝科
pp.630
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100566
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本書は,日本糖尿病学会が公表した「科学的根拠(evidence)に基づく糖尿病診療ガイドライン」(以下「ガイドライン」とする)の策定委員のひとりである野田光彦先生によって編集された.「ガイドライン」は,日本における糖尿病診療の基本的指針として,EBMの観点から,糖尿病に関する多くの研究成果をエビデンスのレベルによって読み分け,重要な項目に沿って策定された.糖尿病についての指南書・実践書は数多く出ているが,「ガイドライン」に留意し,これを有効に活用するためのものは数少ない.臨床現場では,個々の患者に応じて,その病態や背景を念頭において診療を行うが,「ガイドライン」を理解し有効に活用するために,実際に遭遇する具体的な症例をもとにわかりやすく解説した本書は,診察室における座右の書と言える.糖尿病専門医だけでなく,糖尿病診療にかかわるすべての臨床医,コメディカルの方々にお薦めしたい1冊である.
本書が通常の解説書と異なる点は,各項目の記述の中心に「ガイドライン」の中心となるエビデンスにのみ焦点を当てるのではなく,臨床試験による病態の理解を重要視し,患者の意向にも配慮した患者の益となる糖尿病診療をめざした構成になっている点である.
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