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Case 1
無痛性心筋梗塞を来した重症冠動脈病変を有する糖尿病患者
患者:74歳,男性.
主訴:朝方の労作時胸部圧迫感.今年に入って症状が増強するようになり,虚血性心疾患の精査のため循環器科へコンサルテーションされた.
家族歴:特記事項なし.嗜好:喫煙(-),飲酒(+)日本酒1合/日×4日/週程度
既往歴:10年前から高血圧,7年前から2型糖尿病を指摘され近医で治療を受けていた.
現病歴:4年前の人間ドックから心電図上Ⅱ,Ⅲ,aVFに異常Q波を認め陳旧性心筋梗塞(下壁)を指摘されているが,自覚症状がないため経過観察していた.2003年1月頃から起床時や労作時に数分間続く前胸部圧迫感を自覚するようになり診療情報提供書を持参して来院した.
身体所見:身長161 cm,体重61 kg,BMI 23.5,全身状態良好,血圧134/64 mmHg,脈拍56/分整,心音・呼吸音異常なし,浮腫(-).
通常臨床検査:心電図は洞調律,完全右脚ブロック,Ⅱ,Ⅲ,aVFに陳旧性下壁心筋梗塞を疑う異常Q波(Box 1).ダブルマスター運動負荷では胸痛認めず,心電図変化なく判定は陰性(Box 2).胸部X線は正常範囲で心陰影拡大などは認めなかった.採血ではT-CHO 182 mg/dL,HDL-CHO 52 mg/dL,中性脂肪302 mg/dL,食後血糖213 mg/dL,HbA1C 6.9%,UA 5.4 mg/dL.
心エコー:左室壁運動はほぼ正常で局所異常運動(-),軽度左室肥大11 mm,軽度大動脈弁逆流(+).
運動負荷心筋シンチ:運動はBruce protocol stage Ⅳ(11分40秒,13 METs)で下肢の疲労のため中止,胸痛(-),心電図でⅡ,Ⅲ,aVF,V2~V6でST低下(V4でmax-4.6 mm)(Box 3),シンチ所見では下壁と中隔~前壁に虚血性変化を認めた.
冠動脈造影(Box 4~6):左主幹部(#5)50%,左前下行枝近位部(#6)90%diffuse,遠位部(#8)100%,対角枝(#9)90%,回旋枝近位部(#11)90%,遠位部(#13)75%,右冠動脈中間部(#2)100%と重症3枝病変を認めた.
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