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Updates 2007●糖尿病学の進歩
糖尿病神経障害治療のエビデンス
Treatment of diabetic polyneuropathy
馬場 正之
1,2
1弘前大学医学部脳神経血管病態研究施設神経統御部門
2現:青森県立中央病院神経内科
pp.71-75
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100455
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糖尿病にはいろいろな型の神経障害が合併する.中でも罹患率が極めて高く,患者のQOLや生命予後の点から最も重視される病型はポリニューロパチーdiabetic polyneuropathy(以下DPN)である1).DPNは高血糖を基盤に発症し,病理学的には末梢神経線維の進行性変性脱落である2).しかし,高血糖が神経変性を引き起こす詳細な機序は,厳密には仮説の域を出ない.糖尿病自体も完治は難しい.したがって,DPNは緩徐進行性の難治性神経変性疾患3)と考えて対策をとる必要がある.また,具体的な治療目標は,①軸索数減少の防止,②神経再生の促進であるから,特定薬剤の治療効果判定は病理学的に上記①②を確認することが最も理にかなっている.しかし,神経生検は侵襲的で感覚異常などの後遺症を残すし,採取した1本の神経の所見が全身の神経を代表するかどうかにも疑義が残る.したがって,現状では臨床症候と電気生理診断学所見を緻密に行うことによってしか治療効果を判定できない.このことがDPN治療薬剤開発の困難性の一因である.本稿ではDPN治療の現状と方向性に関する最近の知見をまとめてみる.
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