特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査
序文
動脈硬化―その成り立ちと臨床検査
寺本 民生
1
Tamio TERAMOTO
1
1帝京大学医学部内科学
pp.1183-1184
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100578
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20世紀後半の動脈硬化研究の進歩は目覚しく,Framingham heart study(FHS)などの疫学的研究による高脂血症や高血圧・糖尿病などの危険因子の同定を起点として飛躍的な発展をみせた.疫学研究の重要性を改めて認識しているところである.この危険因子の同定は,その介入試験という臨床的手法により確認され,エビデンスに基づく医療(EBM)という領域を確立した.特に,高脂血症や高血圧に対する介入試験は続々と発表され,エビデンスを蓄積し,グローバルなガイドラインが作成され,いまや,実地医療に利用されている.
大規模介入試験の意義
20世紀に行われた大規模介入試験ではある程度冠動脈疾患のリスクの高い患者では高脂血症や高血圧の治療により,虚血性心疾患や総死亡の抑制効果を示すことができることが示され,これらの薬物療法が総体として有効であるという事実が示されてきた.このことは,疫学で示された危険因子を,臨床的に証明したことになり,危険因子として確立させたという意味で意義深い.
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