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「第2回 糖尿病―心理と行動研究会」に参加して―東京・品川インターシティホールにて,2002年9月8日
八幡 和明
1
1長岡中央綜合病院内科
pp.112
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100363
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2002年9月8日に「第2回糖尿病―心理と行動研究会」が東京・品川で開催された.最初に東京都済生会中央病院の渥美義仁先生から,患者さんの心理や価値観を大切にしながら新しい知識や技術を応用したITによる食事指導ツールの開発を進めたいとの紹介があった.太田西ノ内病院運動指導室の藤沼宏彰先生からは,まず指導者が運動を実践してこそ相手に楽しさが伝わり実行してもらえるのだと大変明快な講演があり,わが身を振り返り大いに反省させられた.
次に東京女子医科大学の内潟安子先生の司会のもと,DAWNスタディ(糖尿病における心理的社会的問題に関する国際的な大規模研究)についてDr.O.M.Bech(DAWN Project Director, Novo Nord-isk A/S)が報告した.日本を含めた世界13カ国から患者5,426人,一般内科医2,194人,専門医556人,看護師1,122人が無作為に抽出され,統一質問票による調査結果が報告された.1型糖尿病患者の中には憂うつ感,不安感にさいなまされている人,2型糖尿病患者では食事療法ができないことへの罪悪感を感じている人が約50%いるという大変ショッキングな結果であった,一方医療者側の意識調査では,患者が多くの心理的問題を抱えていることを十分承知しながらも,療養指導に何らかの心理的アプローチが必要であると感じている医師はきわめて少ないという,ギャップの大きさに驚かされた.ただ調査対象の選択にバイアスがかかっていることも考えられ,できるなら日本での調査対象をもう少し増やしたほうが良さそうであるとも感じられた.
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