特集 診察の達人
Master Lecture
診察法を極める
松岡 健平
1
,
石井 均
2
,
北西 史直
3
1東京都済生会糖尿病臨床研究センター
2天理よろづ相談所病院内分泌内科
3NTT東日本伊豆病院内科
pp.4-9
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100340
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芸術品をみる思い
石井 均
「一度実際に見せていただきたい」と思い続けていたことが実現してとても満ち足りた気分でした.私がとくに見せていただきたかったのは神経学的診察法でした.糖尿病と神経障害の本はたくさん出版されているのですが,臨床的な議論の出発点となるべき,腱反射の消失あるいは振動覚の低下を,どのような条件で,どのような道具で,どの部位で,どのような基準で判定しているかについては案外書かれていないのです.
松岡健平先生へのインタビューは診療の終わった東京都済生会中央病院の外来で行われました.頭頸部の診察から始まり,甲状腺の触診法,座位での診察の後、仰臥位で腹部の診察,末梢動脈の触知,そして私が最も知りたかった神経学的診察法へと流れるように進みました.それぞれの手技については写真で伝えていただけると思いますが,身体所見を大切にされていることがよくわかりました.極めつけは足の診察であり,タオルをご自分の膝に敷かれ,その上に被験者の足を載せられ,丁寧に触れるということを強調されました.「足は大切なんだよと教えることにもなるし,いい関係の端緒にもなる」と話されました.「これらのやり方でなければならないということはないが」とおっしゃいましたが,何かひとつの芸術品を見る思いで,とても美しいと感じました.読者の皆さんにそれをお伝えできることを大変うれしく思います.
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