特集 糖尿病診療2021:日常的に包括的診療を行うために
糖尿病の診断と検査
温故知新の診察法
-病歴・身体所見のとり方
近藤 琢磨
1
1杏林大学医学部糖尿病・内分泌・代謝内科
キーワード:
推定罹病期間
Keyword:
推定罹病期間
pp.355-358
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_355
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Summary
▪糖尿病の診察では,糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖状態といった急性合併症の有無をまず確認する.
▪口渇,多飲,多尿,体重減少といった高血糖に特有の症状のほか,悪心・嘔吐などの消化器症状や感冒症状に注意し,糖尿病急性合併症を見落とさないことが重要である.
▪糖尿病罹病期間の特定のため,過去の治療歴や受診歴,健康診断の受診歴,女性では出産歴(妊娠糖尿病)を確認する.過去の体重変化や神経障害の存在からも罹病期間を推定できる.
▪高血糖の原因となり得るステロイド,抗精神病薬,免疫チェックポイント阻害薬などの薬剤使用歴を確認する.
▪家族歴の聴取は,若年発症成人型糖尿病(MODY)など特定の遺伝子異常による糖尿病の同定につながる.がんの有無も確認する.
▪喫煙や飲酒の状況のみならず,職業や家族構成などの情報,食事内容や身体活動量など生活習慣を丁寧に聴取し,多職種と連携し療養指導につなげていく.
▪身体所見では,肥満(二次性肥満を含む),甲状腺腫大,神経障害,足病変の存在にとくに注意する.
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