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日本も欧米も糖尿病の虚血性心疾患へのリスクは同じ.糖尿病では動脈硬化性疾患を念頭に!
日本人のなかで虚血性心疾患の占める位置は?
わが国では年間約100万人が死亡する.2005(平成17)年度の人口動態調査1)では心疾患死亡数は173,125人で悪性新生物に次ぎ死因の第2位である.心疾患死亡のうち心筋梗塞によるものは47,193人,その他の虚血性心疾患死亡は29,310人で,これは国民の全死因の約8%に及び,虚血性心疾患は現代日本人の主要な死亡原因を形成する.わが国の心疾患粗死亡数は一貫して増加しているが,2005年の死亡率は10万人対137.2人である.このうち虚血性心疾患死亡率は10万人対60.6人である(Box 1).
2005年の患者調査に基づく(高血圧性のものを除く)心疾患の医療機関受診数(受療率)は人口10万人対で入院は47人,外来は男性112人である.入院・外来を合わせると10万人当たり160人が心疾患で受診していることになる.このうち虚血性心疾患で受診するものは心疾患患者の約50%を占める.ちなみに,心疾患患者は脳血管疾患で受診するもの(入院183人,外来96人/10万人対)約60%である.以前の患者調査と比較すると,虚血性心疾患患者の受療率は入院,外来ともに低下している.これは循環器疾患における治療の進歩,特に薬物療法や心臓リハビリテーションにより,予後改善が著しいこと,あるいは疾患の軽症化による致死率の低下,また入院患者の平均在院日数の短縮などが影響していると考えられる.他方,循環器医には最近,心筋梗塞や急性冠症候群が飛躍的に増加しているとの印象を持つものが多い.これは,心筋梗塞非致死例の増加による再発例の増加,急性冠症候群を含む軽症例の増加,人口の高齢化による心筋梗塞患者絶対数の増加,医療環境の改善などによる病院搬入例の増加などから,説明可能と思われる.
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