Japanese
English
Editorial
「脳」と「身体」で理解するということ
Understanding with brain and body
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.624-625
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100266
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- Abstract 文献概要
当然のことながら学校の成績は落ちるばかりだったけれど,ほとんど気にならなかった.母はしじゅう叱言(こごと)をいうけれど耳に入らない.父は寡黙でめったに叱らないけれど,たまに叱られたときは身動きができないほど恐ろしかった.
しかし,一晩明けると恐怖は薄れて放心してしまい,魚や怪人二十面相のことを考えて忘我であった.
開高 健「知的経験のすすめ」青春文庫
強い叱責や強制には,確かに短期的効果がある.しかし,それはほとんど内的な変化にはつながらないし,持続的な効果も少ない.行動が変わるためには,内面的な理解が必要であり,行動が変われば気持ちも変わる.
医療者は説明を通じてこの内的理解を得ようと試みるが,それが「説得」の意味合いを持つようになり,「議論」になってしまうと,かえって抵抗が生まれ,行動変化が起こりにくくなる.
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