特集 糖尿病の外科治療―糖尿病は治るのですか?
Master Lecture
ここまできた糖尿病の外科治療
2 足関節以下へのバイパスと遊離組織補塡による救足
笹嶋 唯博
1
1旭川医科大学第1外科
pp.620-622
発行日 2005年7月15日
Published Date 2005/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100003
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閉塞性動脈硬化性(ASO)を伴う糖尿病性壊疽の救足のための外科治療は早期ほど結果がよい.
□外科手術の適応は?
足壊疽,潰瘍が1カ月以上経過して治癒傾向がない例を診たとき(Box 1),壊疽の進行は徐々にではなく階段的に急性増悪して,数日~数週で壊疽が拡大し,救足不能となるので(Box 2 A, B),可及的迅速に対応する.足関節動脈(足背と後脛骨動脈の両方)拍動が触知されない場合は血管造影(MRAまたはIADSA)が必須である.外科手術適応の判断は造影所見(動脈閉塞の有無,特に下腿動脈の多発分節閉塞,Box 3),Ankle brachial pressure index(ABI)and/or toe pressure(toe index),下腿動脈石灰化(Box 4)の程度などから判断される.明らかな動脈閉塞の存在,ABI<0.9やtoe index<0.3の低下はバイパス術の適応を強く示唆する.一方,動脈閉塞がなく,末梢動脈拍動が良好に触知される例の壊疽は血糖コントロール不良例でHbA1Cが高値を示す例である.このような例は壊疽部分を切除し感染を防止すると共に創が浄化されたら断端閉鎖術を行う.
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