プライマリ・ケア医のための「みみ・はな・のど」・3
先天性難聴の早期発見はプライマリ・ケア医の双肩にかかっている
藤村 聡
1
,
福井 次矢
1
,
山口 忍
2
,
伊藤 壽一
2
1京都大学医学部附属病院総合診療部
2京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
pp.647-649
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903301
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プライマリ・ケアの現場で,とくにいわゆる内科・小児科の診察を行っている医療機関では,子どもの言葉の遅れや音に対する反応の鈍さを相談するため,保護者が来院することが稀ではない.言葉の遅れや音に対する反応の鈍さには,大脳の言語領域野に原因がある中枢性の異常による場合と,聴力の障害による場合がある.原因が聴力障害による場合は,早期発見と適切な治療により患児の正常な言語発達が期待できる.しかし,筆者(藤村)の難聴外来においてもしばしば,かかりつけの医療機関や相談に訪れた保健所,教育機関などにおいて必要な検査や正確な検査が行われず,「言葉の発達には個人差がありますのでしばらく様子をみましょう」といわれ,時に就学時まで放置されている難聴児が来院することがある.こうした症例の多くは,不幸にしてすでに言語発達の遅滞をきたして,貴重な言語発達の臨界期を無駄に過ごしてしまったことになる.
本稿では,プライマリ・ケアの現場で簡単に施行が可能な難聴のスクリーニング法と日本の新生児の聴覚スクリーニングの現状について解説し,プライマリ・ケアの現場で先天性難聴の兆候を見つけることの必要性を強調したい.
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