特集 消化器良性疾患の手術適応—最近の考え方
Editorial
出月 康夫
1
Yasuo IDEZUKI
1
1東京大学医学部第2外科
pp.443-444
発行日 1989年4月20日
Published Date 1989/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210324
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消化器良性疾患に対する考え方,治療法はこの10年位の間に大きく変ってきた.これはいろいろな疾患に対していくつかの新しい治療法が登場してきたことが原因である.その結果,これらの疾患では外科治療に対する適応や,手術の術式そのものにも,この数年間に大きな変化がみられている.この特集では,これらの良性疾患のなかで日頃よくみられるものについて,それぞれの領域のエキスパートによって治療に関する最近の考え方がまとめられている.いくつかの論文をゲラ刷りの段階で読ませていただいたが,新しい非観血的治療法の出現によって,手術が大きく変りつつあることをあらためて認識させられる.
さて,良性疾患は出来るだけ手術をしないで治療することが望ましい.肝硬変や慢性膵炎などのように良性疾患であっても病変が進行して臓器が機能不全に陥り,これが直接に生命をおびやかすことや,出血などの合併により致命的な結果を招くこともあるが,多くの良性疾患の場合には合併症や病変の進行,症状の悪化などが主として治療の対象となる.したがって当然のことながら,治療の時期が問題となる.治療を行う場合にもまず非観血的治療が試みられ,これが有効でない場合にのみ観血的治療が試みられることになる.
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