JIM臨床画像コレクション
Purple urine bag syndromeの1例
阿部 浩子
1
,
鄭 東孝
1
,
青木 誠
1
1国立病院東京医療センター総合診療科
pp.480
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903000
- 有料閲覧
- 文献概要
膀胱カテーテル留置中に蓄尿バッグが紫色に着色する現象がみられることがあり,これはpurple urine bag syndrome (PUBS)と称され.1978年にBarlowらによって最初に報告されて以来,その機序について検討が進められている.
PUBSは,膀胱カテーテル留置中の慢性便秘患者に尿路感染症を合併した際にみられる現象であり,悪臭を放つ混濁尿であるが,尿自体は変色せず,蓄尿バッグやチューブに着色を来すことが特徴である.その着色機序に関しては以下のように報告されている.慢性の便秘による便の停滞が腸内細菌の異常増殖を来し,トリプトファンをインドールに分解する.血中に吸収されたインドールは肝臓で硫酸抱合を受けてインジカン(indoxyl sulfate)となる.尿中に排泄されたインジカンは,尿路または蓄尿バッグ内で増殖した細菌の産生する酵素(indoxyl sulfatase)により脱抱合され,水に不溶性のインジゴとなり,蓄尿バッグやチューブに着色を来す.この現象は酵素活性の点から高度アルカリ尿であるほど起こりやすいとされている.また,着色物質がインジゴだけでなく,ステロイドや胆汁酸に由来した例の報告や,尿中インジカン陰性でも起こった例の報告もあり.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.