JIM臨床画像コレクション
糖尿病における発汗障害
木村 琢磨
1
,
小山 一憲
2
,
青木 誠
1
1国立病院東京医療センター総合診療科
2国立病院東京医療センター総合内科
pp.1126
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902887
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発汗異常の訴えは日常診療でしばしば経験するが,個人差が大きく,その客観的な評価は容易ではない.簡便な発汗の定性検査法としてMinor法が知られており,ヨードアルコール液を皮膚に塗抹し,乾燥後,澱粉末を散布し,部屋の温度を上げるなどして発汗を促す.発汗部にはヨード澱粉反応が起こり,汗滴が紫色に着色し客観的に発汗が観察できる.
症例は糖尿病性ケトアシドーシスで入院した30歳の男性.経過中,異常な体熱感,前額部の発汗過多,他部位の無汗を訴えた.身近かにあるイソジン液と片栗粉を用いてMinor法を施行したところ,体幹,四肢には発汗を認めず,前額部と上口唇部にのみ著明な発汗を認めた(写真).これは四肢体幹の温熱性発汗機能の低下により体温調節不全が生じ,代償性発汗過多が前額部で生じたものと思われた.本例は比較的愁訴の多い患者であったが,簡便な検査で愁訴が確認できた症例であった.
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