Update '97
頭頸部癌緩和医療における免疫・化学療法の意義
平田 章二
1
1東札幌病院口腔外科
pp.973
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902307
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緩和医療における免疫化学療法の目的は,担癌患者の内的環境を改善し,患者のQOL (quality of life)を向上させることにある.その作用として免疫担当細胞の活性化と悪液質の是正がある.特に頭頸部癌患者は根治療法が望めなくなった場合でも腫瘍は局所に限局し,全身への影響は比較的少なく,頭頸部癌緩和医療における免疫化学療法の意義は大きい.
われわれは最近,すでに大量化学療法(5―FU,CDDP),full dose放射線治療が行われた再発進行上顎癌(頸部,肋骨,腰椎転移)に免疫化学療法を行い,明らかな苦痛症状の緩和,腫瘍の縮小がみられ,これらより日常のQOLが向上し,生存期間の延長が考えられた症例を経験した.そのスケジュールは,腫瘍が扁平上皮癌のため,ペプレオマイシン(PEP)2mg/日とOK-432より開始した.PEPを標準的細胞障害量より少ない量で用いると,担癌宿主の免疫修飾効果が発現されることが報告されている.BRMで代表されるOK-432は免疫担当細胞の活性化により腫瘍を限局化して局所に留め,さらにmulti-cytokine inducerとして種々のサイトカインの産生,放出を促進させ神経・内分泌・免疫系(NEI系)クロストークを是正しQOLを改善すると考えられている.
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