特集 耳鼻咽喉科疾患と高齢者(65歳以上)への対応
2.全身管理
1)頭頸部癌化学療法
甲能 直幸
1
1杏林大学医学部耳鼻咽喉科
pp.678-682
発行日 2006年8月20日
Published Date 2006/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100737
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Ⅰ.はじめに
頭頸部癌に対する化学療法の目的は,究極的には生存期間の延長であるが,これに加えて頭頸部癌の特性として喉頭などの臓器機能温存,また嚥下障害,疼痛などを軽減することによるQOLの改善が挙げられる。一方,65歳以上の高齢人口は2004年には約20%であり2015年は26%になると予想されている。また,年齢が進むにつれてさまざまな全身合併症も多くなる。合併症が多ければ沢山の薬剤を服用している可能性が高く,病悩期間が長ければ長期服用されている。薬剤の相互作用を防止するためには詳細な病歴の確認,薬剤のチェックが必要となる。特に他院,他科の処方確認,漢方薬・サプリメントなどにも注意する。
また,頭頸部癌は65歳以上の患者が多い。すなわち高齢化社会が進むにつれてこれからますます増加することが予想される頭頸部癌において,いかに全身状態をコントロールしながら上手く癌化学療法を施行するかは治療成績を向上させるうえでも重要な課題である。
本稿では抗癌剤による有害事象の管理を,有害事象が起こらないようにする管理と,起こったときの管理について分けて述べる。
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