臨床研究
緊急入院決定時に診断がついていなかった症例の特徴
江村 正
1
,
高島 敏伸
1
,
加藤 博之
1
,
榎 真佐史
1
,
福岡 麻美
1
,
岸川 勇人
1
,
大串 和久
1
,
大森 啓造
1
1佐賀医科大学内科
pp.868-871
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902278
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目的:緊急入院が決定した時点で,まだ外来で診断がついていなかった症例の特徴を明らかにする.
対象:1995年1月1日から1996年3月1日までの14カ月間に,本院一般内科に緊急入院となった94例の内,入院決定までに外来で診断のつかなかった16例.
方法:診療録のレビュー.
結果:16例中,主訴では発熱と意識障害が多かった.最終診断名では感染症が6例と最も多く,その中でも細菌性の漿膜炎が多かった.悪性腫瘍は4例で,半数は血液系の悪性腫瘍であった.膠原病は成人Still病の1例であった.明らかに医原性と考えられるものも1例あった.その他は,複数の病態が関与した症例・非典型的な症状を呈した例・まれな疾患・診断がつかなかった症例であった.
結語:主訴としては,臓器特異性に乏しいものが,疾患としては,画像診断法が決め手となりにくいものが多いと考えられた.外来で診断がつかない場合,システム・レビューをして,病歴を聞き直し,隈なく診察することが重要で,それでも診断がつかないときは,画像診断が決め手となりにくい疾患を疑ってみることが必要と思われた.
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