Update '97
外側型側頭葉てんかんの臨床的特徴
兼本 浩祐
1
1国立療養所宇多野病院関西てんかんセンター
pp.424
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902161
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昨今のてんかんの外科手術の進歩には著しいものがあるが,その中でも最も成績がよくほぼ確立したと考えられる手術法に,内側型側頭葉てんかんに対する前部側頭葉切除術がある.典型的な内側型側頭葉てんかんの臨床像を呈する症例では,手術後の発作抑制率はほぼ8割前後に達し,側頭葉てんかんという難治のてんかんに対する極めて有効な武器の1つとなっている.これに対して,同じ側頭葉てんかんであっても外側型側頭葉てんかんの手術成績はなおそれほど高くない.したがって,その臨床特徴を総括しておくことは治療方針の確立に大きく寄与すると考えられる.
筆者らは,外来で簡単に得ることができる外側型側頭葉てんかんの特徴としては,熱性けいれんの既往率が少ないこと,最初の中枢神経系への侵襲(例えば複雑熱性けいれん)と実際のてんかん発作の発症との間に潜伏期間が認められないこと,既知感や不安感などのいわゆる精神性前兆が比較的多発すること,MRI上で所見が認められない例が多いことを挙げている.例えば精神性前兆などは内側型側頭葉てんかんでもかなりよく認められる症状なので,1つの症候の存在から内側型と外側型を決めつけることはもちろんできないが,抗てんかん薬で発作を止めることができなかった場合,どの程度の期待度をもって患者さんに手術を勧めることができるかの判定の目安にはなるだろう.
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