Update '97
非リウマチ性心房細動と無症候性脳梗塞/物忘れの自覚と痴呆
山口 修平
1
1島根医科大学第3内科
pp.331
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902134
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非リウマチ性心房細動(NRAF)は脳塞栓症の原因として注目されている.加齢とともに心房細動(AF)の頻度は増加し,高齢者のAFの大部分はNRAFであるとされる.したがって,高齢者の脳塞栓症の原因としてNRAFが最も重要と考えられる.一方,近年のMRIの普及とともに無症候性脳梗塞が注目されている.その病態としては高血圧性細動脈硬化を基盤とした穿通枝動脈の閉塞や狭窄が直接の原因と考えられており,加齢とともにその頻度は増加する.
このNRAFと無症候性脳梗塞の関連についてはいくつかの報告があるが,AFのある患者で無症候性脳梗塞の出現率が高いとする報告と差がないとする報告がある.しかし,いずれにしても梗塞の部位は基底核領域が多く,NRAFの発症基盤としての動脈硬化を反映している可能性が考えられる.そして将来の症候性脳梗塞の発症率に関しては,NRAFの有無にかかわらず無症候性脳梗塞のある例のほうが高率である.したがって,NRAF患者で脳塞栓症を来した後の再発予防は最も重要であるが,無症候性脳梗塞が認められる例でも脳梗塞発症の予防を考慮する必要があると思われる.今後,脳塞栓症の1次予防とも関連して,いかなる方法で脳梗塞予防をするかについて検討が必要である.
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