JIM Report
内科系卒後臨床研修の方向
高林 克日己
1
1千葉大学第二内科
pp.650-651
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901886
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一般内科は誰が教えるのか?
千葉大学附属病院での卒後の内科ローテートが開始されてから20年になる.当時上層部の意向で第二内科だけローテートに加えてもらえずに非常に悔しく思ったのを今でも憶えている.現在各地であらゆる科を回るスーパーローテートがよいのか,内科だけのストレート方式がよいのかなど盛んに議論がかわされているが,こうした問題はいつの日も繰り返されるのであろう.医師になるのなら誰でもすべての分野の研修をしたいと考えるであろうし,初めから小外科に入ってしまっては,いわゆる「医師」としての自信がもてないかもしれない.大半の医学生は最低内科と外科の基本ぐらいは修得したいと考えているのではないだろうか.
一方で限られた期間内にすべてをマスターするのが不可能なのは明らかである.例えば内科の9分野をすべて回るとなると,1つに3カ月としても2年以上かかるし,それに外科や婦人科,小児科まで加えることは現実的には不可能であろう.しかも各3カ月だけではそれぞれの分野をマスターするには程遠い.その有限の重要な期間に何をするかがまた問題である.厚生省の試案は2年間であるが,現実的にはいくつかだけを選択することになる.その後に一般内科を行いながら頻度の高い疾患を経験していけば,いわゆる臨床医になるためには十分と思えるが,問題は多くの教育病院では内科がsubspecialityに分化され,一般内科として研修することが難しくなってきていることである.
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