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医学教育は卒前教育,卒後臨床研修,その後の専門研修および生涯教育と一生を通じて行われるものであるが,特に医学部卒業直後2年間の臨床研修(初期臨床研修)は1968(昭和43)年にインターン制度の廃止を受けて医師法上,努力義務として制度化されたものであり,その改善・充実のために様々な努力が続けられてきた。ところで1998(平成10)年12月に国立大学医学部附属病院長会議常置委員会が公表した「国立大学附属病院卒後臨床研修共通カリキュラム」が精神科医の間に波紋を投げかけている。
関連するこれまでの経緯を振り返ると,厚生省医療関係者審議会臨床研修部会は,1989(平成元)年6月に「卒後臨床研修目標(厚生省の到達目標)」を設定し,その具体的方策を検討してきた。この到達目標には,患者を全人的に診ることができる基本的臨床能力を身につけるため,すべての研修医が達成すべきものであり,将来の専門性を問わず医帥としての基盤形成である卒後2年間の研修期間中に身につけておくべき内容が明示されている。同部会では検討が続けられ1992(平成4)年6月に臨床研修機能小委員会最終報告として,臨床研修制度改善の基本的方向が示された。そこでは従来の「研修の場」を基本とする立場から「研修プログラム」を重視する臨床研修への移行や研修施設群の導入などが提言されている。さらに1994(平成6)年12月には,卒後臨床研修を必修化する方向性が「意見書中間まとめ」として公表され,必修化に伴う課題について意見が交わされてきた。このような状況の中で医学部および大学附属病院関係者による「大学附属病院における卒後臨床研修の在り方に関する調査研究会」より,1995(平成7)年10月に「大学附属病院等における卒後臨床研修について(中間まとめ)」が公表された。この中で,特に大学附属病院における卒後臨床研修の課題として次の4点を挙げている。(1)病院全体としての研修プログラムの作成,(2)研修方式はローテイト方式などを取り入れ,基本的な幅広い診療能力を修得させる,(3)研修プログラムの公開,(4)研修実施体制や評価体制の確立。
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