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特集 脱水を見逃していないか
Grand Rounds
カリニ肺炎の注射用ST合剤での治療中に起きた低Na血症
Hyponatremia during Intravenous Trimethopim・Sulfamethoxazole Therapy for Pneumocystis carini Pneumonia
井上 健司
2
,
寺脇 博之
2
,
山家 謙
2
Cortell S
1
1St.Luke's-Roosevelt Hospital, Division of Nephrology
2聖路加国際病院内科
pp.524-529
発行日 1995年6月15日
Published Date 1995/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901532
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■症例
患者 70歳,女性.
多発性骨髄腫のため内科入院となる.全身の骨は脆弱化し肋骨,恥骨結合に骨折を,また胸椎,腰椎に圧迫骨折を認めている.そのため寝たきりの状態でせいぜい体位変換できる程度であった.第5病日および第24病日にVDS-MCP療法を行い,第34病日にnadir (WBC1,900/mm3,Neu600%)を迎えた.その後白血球は増え始めたが,第39病日38℃の熱発を認めた.聴診上ラ音は聴取されず,呼吸数の増加もなかった.尿のグラム染色は陰性.血液培養施行後CTX2g,GM180mg投与したが,解熱傾向は認められなかった(血液培養2セット;陰性).第43病日になると右下肺野の軽度の湿性ラ音が聴取され血液ガスで低酸素血症を認めた.胸部X線写真では全肺野にびまん性陰性を認め,肺炎と診断.起因菌の確定にTBLBや気管支肺胞洗浄を考慮したが,原病が末期状態にあり家族も侵襲的検査を望まなかったため施行せず,非細菌性肺炎で頻度的に可能性の高いニューモシスチスカリニ肺炎を疑いST合剤を投与した.配合はバクトラミン10Aを5%ブドウ糖液1,500mlに溶解し,6時間で毎日点滴静注した.その結果肺炎は少しずつ改善傾向を示したが,その後徐々に低Na血症を呈してきた.(症例提示:井上 健司氏)
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