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特集 神経疾患エマージェンシー
症状からのアプローチ
けいれんの重積―初期治療と原因の診断
Status Epilepticus:Initial treatment and diagnosis of causes
奥田 文悟
1
1兵庫医科大学第5内科
pp.318-319
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901476
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■中年発症のけいれん重積
患者 48歳,女性.
てんかんの既往歴はなく,突然四肢にけいれんを来し入院.半昏睡(Japan Coma Scale 200)で,瞳孔は正円同大.対光反躰は正常で眼底にうっ血乳頭なし.左側への共同偏視あり.痛覚刺激には右上下肢のみ動かす.深部反射は正常で,Babinski反射は陰性.髄膜刺激症状なし.けいれん発作は左口角より始まり,左上下肢より全身に広がるJackson発作を繰り返すけいれん重積状態であった(Jl).血液生化学検査は正常で,頭部CTにも異常なし.ジアゼパム10mg静注3~5回/日およびフェニトイン250mg点滴静注2回/日により重積状態は軽減したが,けいれんは間歇的に2日間持続した.けいれん消失後の脳波では両側性に徐波が出現していたが,棘波は認めなかった.左片麻痺が2週間持続したため(J2),脳血管撮影を施行して血管奇型(胎生期遺残動脈)が確認された.本例は,胎生期遺残動脈による脳虚血がけいれん重積の原因と考えられた症例である.抗けいれん薬の投与により,1ヵ月後に後遺症状なく退院した1).
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