ミニテクニック
小児薬用量の算定方法について
小濱 守安
1
1沖縄県立中部病院小児科
pp.913
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900981
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ほとんどの薬剤は成人を対象にした検討によりその薬用量が決定され,小児に対する安全性や有効性は,十分評価されていないことが多い.また小児期は15歳までと幅広く,各種の臓器は形態的にも機能的にも発達途上であり,薬物代謝は年齢によって変化し成人とは異なる.したがって,投与量の決定には薬物速度論および薬力学的な観点から考える必要がある.しかし臨床上これらのパラメータを測定することは困難であり,一般的には成人薬用量を基準にして算出される.その尺度として年齢,体重,体表面積などがある.年齢や体重による算定式は,年齢が低くなるほど薬用量が少なめになる傾向があり,単に年齢や体重,身体の大きさのみを基準にし,成人を小型にしたものとして小児薬用量を決めることは無理がある.
体表面積は,熱量喪失や,心拍出量,糸球体濾過量,循環血液量などと関連があることより,小児薬用量を求める尺度として合理的と考えられ,小児の体表面積(m2)/成人の体表面積(m2)×成人薬用量で求められる.日本人における年齢による体表面積も示されている(表1).日常診療上においては,成人薬用量を1とし,年齢別の体表面積より小児量比を算出したvon Harnackの換算表が有用である(表2).しかし薬物によっては体表面積からの換算式では,過剰または過少投与量となるものもあり,慎重な配慮が必要である.
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