今月の主題 内科医のための小児診療のコツ
小児診療の特殊性
薬用量
山下 直哉
1
1慶応義塾大学医学部・小児科
pp.1324-1326
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220475
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小児薬用量を決定する時に考慮すべき重要なことに成長発育がある.薬物の体内分布に影響がある細胞外液量,排泄に大きな働きがある腎糸球体濾過量などは体表面積にほぼ平行して増加するが,他の薬物の体内動態の因子,たとえば,消化管における吸収,蛋白結合,血漿esterase活性,肝の酵素活性,尿細管機能は生後数年(多くは2~3年)の内に大きな変化を遂げる.このため,体表面積や体重を成人と比較して,成人薬用量から小児薬用量を算出する方法では正確でないことが多い.特に新生児期には表1に揚げたような点で成人と大きな差がある.
日常の診療で使用することが多い抗生物質を例にして小児薬用量について述べてみる.薬物は投与されると一度は血中に入り体内に分布される故,薬物の血中濃度の推移は体内動態を知る上で重要な指標の一つである.
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