こどものsocial medicine 病気とともに積極的に生きる
小児糖尿病―1.治療の基本
新平 鎮博
1
1大阪市立大学生活科学部発達保健学
pp.360-362
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900815
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小児糖尿病の多くはインスリン依存性糖尿病(あるいは若年型糖尿病,以下IDDM,J1)であり,肥満を伴う「糖尿病」(非インスリン依存型あるいは成人型糖尿病,以下NIDDM)とは似て非なる疾病と考えるほうがよい.つまり,IDDMでは毎日のインスリン治療が基本であり,病態が進むとインスリンが必要となるNIDDMと概念・考えが異なる.日本では発症頻度が少ないために(1O万人に5人前後),誤った理解をしている場合が多く(例えばNIDDMの原因の一つである過食・肥満などはIDDMの原因でない),そのために日常生活での不必要なカロリー制限・運動が指示されることがある(NIDDMでは治療も食事・運動療法が中心となる).そのために発育ばかりか治療にもかえって悪影響を与えたりする場合が少なからずある.
限られたスペースで治療法を網羅することはできないので,基本的な概念にできるだけ触れ,われわれの専門外来で経験した日常生活上の種々の問題点を紹介しながら,読者との接点が探れるならば幸いと思う.なお,ここでは肥満を伴う糖尿病の治療・生活指導には触れない.IDDMとは違った面で大きな問題を含む.
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