Generalist and Specialist
ROSの必要性
山内 裕雄
1,2
Yasuo Yamauchi
1,2
1順天堂大学・整形外科
2順天堂医院
pp.1039
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900656
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本誌の読者はご存じのことと思うが,ROSとはReview of Systemsのことである.日本の,少なくとも私が教わったhistory takingにはこんな項目はなかった.1956年に大学を卒業し,横須賀米国海軍病院で1年間のインターン,その後ミシガン大学附属病院で臨床研修を行った私には,present illness, past history, family historyにつづくreview of systemsは面倒なものだった.奴隷のような研修制度のなかで,毎日入院してくる多数の患者のwork-upをなるべく手際よく終わらせたかった私には,初期の英語の不自由さも手伝って,respiratory system, cardiovascular system, gastrointestinal systemなどなど多くのsystemの異常を系統的に聞かねばならないのは苦痛だった.幸いにだんだん英語には慣れ,人をみてurinary systemにはany trouble peeing?などと俗語を使ってやらかす手を覚えたが,内科入院患者のみならず,私の専門の整形外科も含めて全患者に行うのであるから,やはり大変だった.しかし今思うと,現症,既往歴,家族歴といういわば縦の病歴聴取に,system別に横の病歴聴取を織り混ぜて完壁なものとする手法は大切なものであり,局所のみならず全身の状態を把握すべしという精神は貴重なものと考える.
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