診察術の歴史・8 The Evolution of Physical Diagnosis
トーマス・シデナム―イギリスのヒポクラテス
James K. Gude
1
,
吉原 幸治郎
2
Kojiro Yoshiwara
2
1University of California-San Francisco, Medicine & Community Medicine.
2佐賀医科大学総合診療部
pp.1020-1021
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900653
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17世紀の理論的医学に対する反逆児
トーマス・シデナム(1624~1689年)は17世紀における理論的医学に対する反逆児であった.彼は実践的な科学的観察を行い,30年間の診療の後に次のように述べた.「私はこの科学としての医学の真実を注意深い眼で観察し,限りない情熱を注いで学んできた.そして現在,私は次のような考えを確信するに至った.すなわち,医学におけるアートは実践と習練の中でのみ得られるということである.」
彼はガレンやアヴィセンナなど当時の医学の権威者たちの医学理論に盲従することなく,病気の自然史に対して謙虚な態度で望む医学生であり,彼が書き残した論文は偏見のない直接的な臨床的観察に基づくものであった1).
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