Japanese
English
特集 失神とその前兆
心疾患―洞不全症候群と心室頻拍
Syncope secondary to SSS and VT
小川 聡
1
Satoshi Ogawa
1
1慶応義塾大学内科
pp.361-364
発行日 1991年7月15日
Published Date 1991/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900108
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ポイント
・心疾患に伴う失神の原因は一過性の心拍出量の減少もしくは欠如であり,その背景にある異常の大部分が不整脈である.失神の前駆症状として動悸,胸部不快感,胸騒ぎ等を自覚することが多い.
・大動脈弁狭窄症や肥大型閉塞型心筋症での失神症状は以前は狭窄により一過性に心拍出が停止するためと考えられていたが,これにも不整脈が関与している可能性が高い.
・不整脈は頻脈性と徐脈性に分けられる.前者では心室頻拍症とWPW症候群の心房細動(偽性心室頻拍)が代表で,後者には洞機能不全症候群と房室ブロックがある.
・診断にはホルター心電図が不可欠である.運良く記録中に失神が生ずれば原因となる不整脈を即座に診断できるが,大部分の例では記録された不整脈と失神の関連性の解釈にむしろ苦労する.24時間記録で不足であれば頻回に再検し,失神を起こしうる不整脈の前兆の検出に努める他はない.めまいを伴う非持続型心室頻拍,あるいは夜間に無症状にみられる一過性の洞停止(数秒程度)や房室ブロック(特にMobitz II型の2度房室ブロックやP波が連続してブロックされる高度房室ブロックなど)は重要な手がかりである.運動負荷心電図も重要な診断法である.
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