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ウィリス先生の回診・2
松村 理司
1
Tadashi Matsumura
1
1市立舞鶴市民病院内科
pp.211-212
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900066
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- 文献概要
甲状腺機能低下症
症例
「85歳の男性で,主訴は臀部痛です.5カ月前頃からよく転倒するようになりました.最初は,浴室で転倒し,胸部を打撲,肋骨を骨折しましたが,近医通院で治癒しております.4カ月前には,トイレに行こうとして廊下で転倒し,臀部を打撲しました.2カ月前には買物中に,2週間前にも日光浴中に転倒し,やはり臀部を打撲しております.後者の際には,立ちくらみと冷感を覚えております.同医で加療中,貧血を指摘され,当科紹介入院となりました.既往歴には,特記すべきものはありません.
身体所見ですが,脈拍は50/分で整,呼吸数は16/分でCheyne-Stokes様,血圧は仰臥位,坐位とも110/65です.EENT (eye, ear, nose, throat)では,瞳孔はequal and activeで,眼底にも特に病的所見はありません.眼瞼は浮腫状で,結膜には中等度の貧血を認めます.舌や口腔粘膜に異常は認めません.頸部では,気管短縮や胸鎖乳突筋の活動性亢進を認めるだけです.胸部にも異常なく,心臓では,JVD (jugular venous dilatation)もHJR (hepato-jugular reflux)もなく,Levine II/VIの駆出性雑音を胸骨左縁第3肋間付近に認めるだけです.腹部は平担,軟ですが,臍周囲に圧痛を認めます.LSK(liver, spleen, kidney)に異常なく,腫瘤も認めません.腸音は亢進しています.背部では,両側臀部に圧痛を認めます.
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