特集 中小企業の健康問題
産業医の活動
野見山 一生
1
Kazuo NOMIYAMA
1
1自治医科大学
pp.462-466
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900130
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■はじめに
労働安全衛生法により50人以上の従業員を雇用する事業場は,産業医を選任する義務がある(労働安全衛生法).この法律により産業医を選任し,所轄の労働基準監督署に届出をしている事業場数は8万カ所で,その多くは中小企業である.
地域保健を担当する「第一線の医師」の多くは,地元の事業場の求めに応じて「産業医」としてその職務を果たしてきた.また,日本医師会も「産業医活動は地域保健活動の主要な活動の一つ」として位置づけ,地域,地区医師会も活発に産業医活動の振興に当たってきた.しかし,卒前,卒後を問わず,産業医活動をどのように行うべきかの教育を受ける機会もなく,また,専門領域以外の新しい領域「産業医活動」について学ぶ時間的余裕を生み出すことの難しい多くの「第一線の医師」にとっては,産業医活動の実践は厳しい課題でもあった.このような状況下にあっても,産業医活動は次第に盛んとなり,多くの「第一線の医師」がこの活動に参加するようにはなったが,一部の名目だけの「産業医」のいたことも事実であった.そこで,労働基準監督署と郡市区医師会の産業医選任状況の把握の現状,また,産業医自身と事業場の両面から産業医活動の実態を明らかにすべく,実態調査を行った.
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