特集 老人脳卒中患者の社会復帰に向けて
老人という名を失ったもの
奥川 幸子
1
1東京都養育院付属病院
pp.507-511
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921402
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老人は動ける間だけ老人動けなくなったら老人ではなくなる
年寄りの多い光景──異次元の世界
1月某日,私がMSWとして勤めている老人病院の外来は,通路にベンチを張り出しても,まだ座れない人が出るほどの混雑ぶりを呈していた.
年始の休みと祝日が重なったため,通常の2倍の患者が押し寄せたせいだった.いくら年代の低い人たちが付き添い家族の中に交じっているとはいえ,老人ばかりが鈴なりにあふれかえっている光景は,一種独特な異次元の空間を形成しており,異様な世界でもあった.
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