Editorial
家庭医の基本的臨床能力としての家族アプローチ法
伴 信太郎
1
1名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻総合診療医学
pp.785
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102641
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現在,米国の家庭医レジデンシーのカリキュラムとして,家族アプローチの基礎がどのように組み込まれているのかはわかりませんが,私がレジデントであった1980~83年には,少なくとも私が所属していたレジデンシープログラムには,系統だった「家族アプローチ法」を学ぶカリキュラムはありませんでした.帰国後,家庭医として家族にアプローチすることは,予防的にも,診断的にも,治療的にも有用だと感じて独学をしていました.ミニューチンの構造的家族療法を主な教材にし,日本の社会学者や心理学者が書いていた一般書を参考にしていました.
家族というのは,人間を取り巻く環境のなかで最も密接なものです.その関わり方によっては,強力な医療資源にもなりますし,病いの原因にもなります.また家族構成員の性格(生得的にも環境的にも)や価値観,あるいは習慣に大きな影響を与え,それが健康問題にもつながります.
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