シネマ解題 映画は楽しい考える糧[64]
「笑の大学」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.779
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102636
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表現の自由とは? 爆笑しながら考えられるお得な作品
三谷幸喜の脚本はいつも素晴らしいと思います.本連載の第12回では「十二人の優しい日本人」を取り上げました.彼が脚本・監督を務めた「みんなのいえ」「ラヂオの時間」「THE有頂天ホテル」そして「ザ・マジックアワー」は笑ってリラックスしたい時には一押しです.どうやったらあんなにおもしろい物語が次々と湧き上がってくるのでしょうか.
本作は,太平洋戦争突入間近の東京を舞台にした,検閲官と舞台作家の密室劇.物語では二人の対立と友情,笑いの大切さと作家魂,そして最高の喜劇の創造が描かれていました.腹を抱えながらも同時にいろいろな思いや疑問が湧き上がってくる作品でもあります.役者の演技に乗せられ,一つひとつの台詞に爆笑しながら社会的,歴史的,そして倫理的問題を考えることができるなんて,実にお得だと思いませんか.
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