原著
笑氣ガスによる所謂無痛分娩(第1報)
織田 明
1
,
向井 秀信
1
,
伊東 義人
1
,
新井 淸久
1
,
觸澤 玲子
1
1東京都立駒込病院産婦人科
pp.344-346
発行日 1951年9月10日
Published Date 1951/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200527
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緒言
科學的に無痛分娩法が取扱われたのは1847年英人J.Y.Simpsonのエーテル,クロロホルムの吸入による所謂女王麻醉に始つた樣であるが,爾來歐米に於ては著しい發達普及し,最近では亞酸化窒素(笑氣ガス)酸素の混合吸入が娩出時の麻醉として盛んに應用せられている。我國では無痛分娩に關しては廿年來研究業績が散發するのみであつた。終戰後は尾島,長内氏のクロール,エチール吸入麻醉その他,八木教授,森,藤井氏等のサドル麻醉法,伊達氏のオペリヂン皮注法等を主とし,その他各所にボツボツと實施せられているが未だ研究の域を脱せず,その普及には前途尚遠い感が深い。更に亞酸化窒素吸入麻醉による無痛分娩法は材料の入手難に起因してか,未だ發表がない。我々は最近スエーデンのAGA會社製の同ガス吸入器具を使用する機を得たので未だ少數例ではあるが,第1報としてその概要を報告する。
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