風邪の総合診療
[7]微熱+倦怠感型
岸田 直樹
1,2
1手稲渓仁会病院総合内科
2手稲渓仁会病院感染症科
pp.940-944
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102347
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はじめに
前回は「局所不明瞭・高熱のみ型(熱+α,α≒0?)」として,熱以外に局所症状がない(とつい思ってしまう)カテゴリーに関して述べました.熱という訴えのみのようでも,臨床上のコツを駆使することで,感染巣を特定することができることがあることを確認しました.さて,今回は「微熱+倦怠感型」について考えてみたいと思います.気道症状がしっかり先行すれば,多くは感冒後疲労ですが,そこにはいくつか注意すべきピットフォールがあります.感冒後疲労という言い方は,ゴミ箱診断となりやすいので注意しましょう.
これまでの流れから,風邪の定義が明確になればなるほど,風邪とは言えないはずなのに“風邪”という誤診を起こしやすいカテゴリーの1つがこの「微熱+倦怠感型」でしょう.つまり,咳・鼻汁・咽頭痛の訴えがなく,症状のメインが倦怠感で,熱も微熱程度という,医師としては曖昧でとらえにくい訴えのため,ついとりあえず“風邪”と言ってしまいます.ここでは,風邪との鑑別となるため,慢性の倦怠感ではなく,急性の倦怠感(4週間以内)について,症例を用いて考えてみることにします.
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